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こちらの記事では、発注方式のひとつである「発注点発注」について紹介しています。食品ロスを防ぐためには、その店に合った発注量とタイミングが必要となってきます。ぜひこの内容を参考に、自店に合った発注方法を見つけてください。
飲食店における食材の発注タイミングの決め方には、さまざまな方法があります。中には「長年の勘で発注している」という方もいるのではないでしょうか。
ただし食材ロスや品切れのリスクを減らす、という観点から考えると、発注方法についてはしっかりと考えておく必要があるといえます。そこでおすすめなのが「発注点発注」という方法。これは、食材ごとに「発注点」を決めておき、その発注点に基づいた発注を行う方法のことです。この発注点発注は「発注点方式」「定量発注方式」とも呼ばれています。
発注点発注では、「在庫が発注点よりも少なくなった時」にその食材の発注を行います。このタイミングで、前もって決めていた数量分の食材を発注することによって在庫を回復させることができます。あらかじめ決められた量だけ発注を行うことから、毎回発注量が一定となり手間も少ないことがメリットです。
さらに、発注点発注は勘に頼った発注ではなく、数字をもとにしているため発注するタイミングがわかりやすい点もポイントといえるでしょう。そのため、誰か一人だけが発注を担当するのではなく、多くのスタッフが発注管理の業務を担当できるようになり、業務負担の集中を防ぐことにもつながります。
しかし、発注点発注は大きな在庫の変動には対応しにくいという面もありますので、この部分についてはあらかじめ注意しておきましょう。このことから、需要変動が大きくないもの、単価が安いものの在庫管理に発注点発注が向いているとされています。
また、食材の発注点を決めるにあたっては「1日の平均使用量×発注から納品までの期間+安全在庫」という計算式で求められます。
ここで「安全在庫」という言葉が出てきますが、これは、急に注文が増加することで在庫の不足が起きることを避けるためのものです。安全在庫は「安全係数×使用量の標準偏差×√(発注から納品までにかかる期間+発注間隔)」で求めることができます(安全係数:欠品を許容できる「欠品率」に対する数値。どこまで欠品を許容できるかによって数値が変わります)。
前述の通り、発注点発注を行う際には安全在庫についても考慮することで、品切れが起きるリスクを減らすことができます。ただし、注意点としては生鮮食品に関しては安全在庫がそのまま食材ロスにつながる可能性がある、という点が挙げられます。
そのためにも、自分の店ではどのくらいの安全在庫が必要なのかを把握する必要があるといえるでしょう。しばらく運用を行い、その結果在庫が多いと判断したら安全在庫を減らす、また足りないと感じたら安全在庫を増やすなど、状況に応じて柔軟に対応することが必要になってきます。
また、季節によって安全在庫の数を増減させることもポイントのひとつとなってきますので、定期的な見直しをかけ、時期に合った安全在庫の量や発注量を把握するようにしましょう。